レールガン実射記録−4



2006/9/17


10kJでの実験はとりあえず成功したといっていいでしょう。
砲身やギャップスイッチなどの強度に問題はないと思いますが、20kJ、30kJ射撃に向けて念のために配線を更に太い100sqのKIV線に変更しました。

恐ろしく太いです^^;
右の写真で、圧着端子の取り付け穴(φ10)と比べてもらえるとわかりやすいかと思います。
R38の圧着端子の接続部分を真ん中で割り、左右から挟みこむように取り付けようと思っていたのですが、予想以上に太かったので上から針金で固定してあります。
強度が必要とされる部分なので、この後銅線部分をバーナーで溶かしながら溶接してしまいました。

30kJといっても直列接続と並列接続では結果はかなり変わってくると思います。
直列接続ではコンデンサのスペックは15kV-267uFとなり放電時間は短くなりますが、回路には凄まじい大電流が流れます。
かなりの量のスチールウールをプラズマ化させることが出来ると思いますが、放電時間が短すぎてローレンツ力による加速はあまり期待できないかも知れません。
一方並列接続では5kV-2400uFとなり、電解コンデンサ並みの長時間放電が出来るようになります。
レールの導体部分の長さが500mmなので、これ位の容量が丁度いいのかもしれません。
以上よりとりあえずは並列接続で実験を進めていきたいと思います。

連結用のケーブルを作るだけでも苦労しました(笑
幸い電解コンデンサと違ってオイルコンには極性がありません。
そのため必要数だけケーブルを用意しておけば、繋ぎ変えるだけで直列、並列を変更することが出来ます。


2006/09/23


ついに20kJでの射撃です。
結果は良好、かなりの初速の上昇が感じられました。



動画
中身入り(水ですが)の缶を吹き飛ばす予定だったのですが、狙いが逸れて弾は缶の側面を掠めて飛んでいきました。
弾は写真奥から手前に向かって飛んでいきましたが、その部分の塗装は見事に剥げ、亀裂まで入りました。
掠っただけでこれなので、直撃したら凄まじいことになったと思います。


動画
今回はブレーカーのお陰でダイオードが吹き飛ばなかったので、連射が出来ました。
ターゲットは厚さ5mmほどのアルミとスチロールの複合版です。
綺麗に四角い穴が開いています。



動画
某洗剤です^^;
これも難なく両面を綺麗に打ち抜いています。
貫通後も容器が倒れていないので、凄まじい速度が出ていたと考えられます。


並列接続により通電時間が延長され、長時間プラズマにローレンツ力が加わっているようです。
マズルブラストが大きくなっているのはスチールウールの量を若干増やしたというのもありますが、プラズマの速度が10kJの時よりも早くなったということを示しているといえるでしょう。
明日は恐らく30kJに挑戦できると思います。
遂にこの化けコンがフルパワーを発揮しますw


2006/09/25

諸事情により連結用のケーブルを作る時間がなかったので、また20kJでの射撃です。
中に水を入れた空き缶が標的です。
命中と同時に中の水が四散しました。
突入側の穴は綺麗に弾の形をしていましたが、飛び出したほうの穴はむしろ張り裂けたという感じでした。
弾が直接突き破ったのではなく、内部の水が圧縮されてその圧力で裂けた、といったところでしょうか。
二枚目の画像ではプラズマが生成され、銃口から飛び出す瞬間を捉えることが出来ました。
晴れた日の真昼間だったのにもかかわらず、その強烈な閃光によってコンクリートが赤く照らされています。


こちらの写真はプラズマが外気によって冷やされ、気体になる所を捕らえたところだと思います。
普段は銃口から飛び出る際には殆どが冷えて気体になってしまっていますが、このときはスチールウールの量が良かったためか、かなりの高温を保ったまま射出されたようです。

動画は動画まとめのほうでどうぞ。



2006/09/30

飛翔体のエネルギーを振り子の運動エネルギーに変換し、振り子の振れた高さからもとの飛翔体の速度を計算しました。
以下、計算式です。

mv=(M+m)V
V=mv/(M+m)

1/2(M+m)V^2=(M+m)gh

1/2(M+m)V^2-(M+m)gh=0
=1/2m^2v^2(M+m)/(M+m)^2-(M+m)gh
=m^2v^2/2(M+m)^2-gh

2gh(M+m)^2=m^2v^2
v^2=2gh(M+m)^2/m^2

v=(M+m)√2gh/m
=500√19.6h (m/s)




左が衝突前、右が頂点に到達したときの写真です。
ただ動画が15f/sなので、写真より高い位置に頂点があった可能性が高いです。
メジャーを設置しましたが画質が悪くてメモリが殆ど見えず、結局粘土の直径からy方向への移動距離を割り出したところ、約32mmであることが分かりました。
500√19.6hに代入すると、ほぼ400m/sとなります。
かなり遅いですね。音速より少し早い程度でした。
運動エネルギーに換算すると80Jです。入力が20kJ、20000Jですので変換効率は0.4%。。
1000m/sを出すには、30kJ入力で1.6%の変換効率を出さなければなりません。
現在の4倍です。
通電時間が長くなること、プラズマの量が増えることから今よりはマシになると思いますが、果たして4倍になるでしょうかw



衝突後の粘土の塊です。直径80mmです。
クレーターは大体半分くらいの所まで到達しています。
1000m/sでの衝突では間違いなく貫通してしまうため、この方法では計測は出来ないでしょう。



2006/10/08


屋根です。ビニールを上から垂らしてカーテンレールで開閉可能にしてあります。



大きめに作ってあるので、レールガン本体や、MOT、スライダックなどの重量物も格納可能です。



予想以上に時間がかかってしまったので、またしても30kJ用の連結ケーブルを作る暇がありませんでした^^;
その代わりといってはアレですが、いつもと違う角度から動画をとってみました。




恐らく今までの内で最大のマズルブラストを観測できました。
標的は屋根を作るときに使った5mm厚のアクリル板の残りです。
動画


後ろに設置したダンボールに割れたアクリル板の破片が突き刺さっていました^^;




今度は先週使用したのと同じ粘土です。
真後ろから撮影してみたところ、凄い絵が取れました。
銃身の先に火の玉が見えますw
動画


飛翔体が10×10mmなのに対し、穴は直径40mmほどあります。





暗くなってからの射撃です。
周りが暗いので、レールガン本体が閃光で見えませんw
飛翔体なしの空砲だったので音とマズルブラストが大きかったですね。
レーザーを照射したように、後ろのダンボールが丸く照らされています。